Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.830 Zeichen · 24 Bildschirme
「僕はあの女――幽里子のためにあなたの書いた手紙の宛名が知りたいのです」
「――――」
青白い青年は、卓を隔ててドッカと腰をおろしました。姿や顔の華奢なのに似ず、その性根は図太そうで、言うことも妙にドスが利きます。
「どうです東野さん――いや東野先生、ただとは言いません、打ち開けて下さればお礼はしますよ」
「それは御免を蒙ろう、――どんな手紙を書こうと、あの人と僕との勝手な取引だ」
東野南次は言い切りました。
「どんな手紙――冗談でしょう、手紙の内容を知らずに、こんな事をいう僕じゃない、――僕はね、幽里子さんの後をつけて来て、何時でもこの扉の外で聴いていたんですぜ、――歯の浮くようなラヴ・レターの文句を記憶しているからこそ、こう掛け合っているんだ」
「――――」
「ビルディングといっても、こんな安普請だ。そっくり返ったベニヤ板の扉が、秘密を保てると思っているのかい、――ね、東野先生」
「――――」
「手紙の中味は幽里子さんの言葉でよく解ったが、肝腎の宛名がわからない――あの甘ったるいラヴ・レターを一体誰が幽里子さんから貰っているんだ」
「それは知らない、――私も知ろうとしているが、教えてくれないのだ」