Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.033 Zeichen · 22 Bildschirme
会社はすること成す事損失続きの上、仙太郎自身の不正が暴露して刑事問題を起し、その上想像しうる限りの不祥事が続発して、遂に会社は潰れ、笠森仙太郎自身も破産してしまいました。
笠森仙太郎はこうして全く無一物になったのです。いや、無一物になるべきはずだったのですが、たくみに財産を隠匿して、いまは人手に渡った山ノ手の巨大な屋敷を出たときは、リュックサック一杯の紙幣を、ウンウンいいながら背負っておりました。
百円紙幣でそれは二百万円位はあったでしょう。わざと自動車に乗るのをさけて、あらかじめ日本橋のさるビルディングの七階に借りている、秘密の事務所に運び、そこへ落着いた上、おもむろに後図の計をめぐらそうとしたのです。
破産した笠森仙太郎が、うっかりこれだけの金を銀行へ持って行くわけにもいかず、姿を変え名を偽って、闇商人になって暮そうといった、一番卑怯な、そして狡猾なことを考えながら、笠森仙太郎は二百万円の紙幣の事をも忘れてニヤリニヤリほくそ笑んでいたのでした。
ビルディングにはもはやエレベーターの無くなった時間で、笠森仙太郎馴れない重荷を背負ったまま、一階一階と薄暗くなりかけた階段を登り、ようやく四階までいった時でした。