Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選
野村 胡堂
Lesen Sie 奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.249 Zeichen · 62 Bildschirme
(密室)になっているのでした。
「ヘエ、ヘエ、銭形の親分さんで、とんだお手数を相かけます。御覧の通り、外からは鼠一匹入れないところですから」
案内に立った番頭の為之助は、五十近い仁体、着実そうで腰が低くて、少しばかり卑下慢な調子で、これが主人松平源左衛門世に在りしころの味噌摺用人であったとは思われないほどです。薄い唇、睡そうな眼、甲の高い声、恰幅はなかなかよく、そればかりは曾て二本差したこともあるらしい人柄です。
「お前さんはそのとき何処に居なすった」
「母家の店におりました、少しばかり帳合の残りがございまして」
「ここに泊るのか」
「月のうち、五六度は泊りますが、すぐ近所に私の家がございます。家内や伜はそこに住んでおります、ヘエ」
「主人は居なかったそうだが、毎晩家を明けるのか」
「いえ、そんなことはございません、お万さんがいらっしゃるので、外へのお泊りは、せいぜい三日に一度、七日に一度」
番頭の為之助はクスリと笑った様子ですが、場合が場合だけに、その笑いを噛み殺してしまいました。
平次は提灯を借りて、ザッと外廻りを調べました。
離屋は母屋からは完全に離れておりますが、母家の二階と離屋の屋根とは、スレスレに接しております。