Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選
野村 胡堂
Lesen Sie 奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.249 Zeichen · 62 Bildschirme
その場から煙のように消えてしまったのだ。今朝になって、賭場で見付け出し、いちおう縄を掛けて自身番に預けてあるが、何を訊いても知らぬ存ぜぬだ」
弁慶の小助は側からくちをいれました。
「刃物は持っていなかったのか」
「匕首を持っているよ、幅の広い出刃庖丁のような奴だ。尤もそれには血もなんにもついちゃいないがね」
「昨夜井戸端で見付けられたとき、なんにも言わなかったのかな」
平次はもういちど主人の市兵衛に訊くのでした。
「何か変なことを申しましたよ、――お君が殺されているんだ、俺と逃げる筈だったが。畜生ッ、誰がこんな虐たらしいことをしやがったんだ――と言ったようで」
「養子の市太郎は?」
「そのとき、庭木戸から入って来たようです。よくはわかりませんが」
市兵衛の言葉には何か割りきれないものがあります。
「養子の市太郎と、娘のお君との仲は好かったのかな」
「決して仲が好いとは申されませんでした。市太郎は堅い良い男ですが、商売熱心で地味で、――若い娘などに好かれる男ではございません、――でも」
市兵衛は何か続けようとして口を緘みました。遠い親類の次男で、商人の市兵衛が堅いのを見込んで貰った養子で、山の手一番の娘が気に入る筈もありません。