Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選
野村 胡堂
Lesen Sie 奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.249 Zeichen · 62 Bildschirme
市兵衛の話はかなり平次の壺にはまった様子で、そこから弁慶の小助と二人、調べの筋をくり返して、もういちど自身番へ向ったことは言うまでもありません。
「万次、お前のような嫌な奴はないな」
やくざの万次の顔を見ると、平次はいきなり、唾でも吐きかけそうにするのです。腰縄は解きましたが、まだ小助の子分二人に付添われて、自身番に留め置かれた万次は、平次の一喝を喰って、
「何が悪かったでしょう、親分」
ヒョコヒョコと卑怯らしく頭を下げるのでした。
「お前はお君殺しの下手人にされているんだぜ。いいか、――お君を殺さないという確かな証拠は一つもねえ」
「?」
「お前は本当にお君と小田原へ逃げる気だったのか」
「それは、もう親分」
「お滝はそれを知っていたのか」
「えッ」
「隠すな、お前はお滝と変な噂を立てられて、ひと騒ぎしたのはツイ半歳前のことじゃないか」
「そんなことまで御存じで、――みんな申上げてしまいましょう、――実はお君を伊賀井様へ上げることを考え出したのはお滝の智恵で、あらゆる手立てを考えて、あっしとお君の仲を割こうとしたのです。でも、とうとうあっしが勝ちましたよ。いよいよ明日はお君を伊賀井様へ連れて行くという前の晩、二人は道行をする段取になったのです。