Japanische Klassiker mit Furigana
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きぞくひがん
奇賊悲願
海野 十三
Lesen Sie 奇賊悲願 (きぞくひがん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.375 Zeichen · 19 Bildschirme
前の夜の刑事なら、あんなにぴんぴんしていられる訳がない。それに同じ刑事なら、煙草の火を借りるにしても、もっと何か前夜と連絡のあるような文句をいう筈だが、実際はそんなことはなかったんだからなあ。だから、やっぱり別の人間に違いない」
その夜仕事が終って寺を抜け出て通りへ出た途端に、またもや約束事のように、刑事がとび出して仏像を背負った貫一を後から呼び留めた。
「これでも喰え」
貫一の放った一弾は、刑事の右の脚を、膝の上のあたりで切断をしてしまった。刑事は、すってんころりと転んだが、気丈夫な奴と見えて匐いながら、千切れた脚をつかんで頭の上にさしあげたと思うと、ぱったり倒れて動かなくなった。――貫一は、ざまを見やがれと捨台辞を残して、その場を退散した。
烏啼の館に、尊い仏像は三体も集った。
「異ったことはなしか、今夜はいやに顔色が良くないが……」
と烏啼が訊いたが、貫一は例によって異状なしと頑張った。
第四夜は世田谷方面だった。
さすがの貫一も、その夜は少々気味が悪くて、足がいつものように楽に進みはしなかった。
「旦那。すみません、煙草の火を貸して下さい。すみません」