Japanische Klassiker mit Furigana
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きぐう
奇遇
Lesen Sie 奇遇 (きぐう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.238 Zeichen · 13 Bildschirme
小説家 実は今日出発する予定なのです。
編輯者 (驚いたように)今日ですか?
小説家 ええ、五時の急行に乗る筈なのです。
編輯者 するともう出発前には、半時間しかないじゃありませんか?
小説家 まあそう云う勘定です。
編輯者 (腹を立てたように)では小説はどうなるのですか?
小説家 (いよいよ悄気る)僕もどうなるかと思っているのです。
編輯者 どうもそう無責任では困りますなあ。しかし何しろ半時間ばかりでは、急に書いても貰えないでしょうし、………
小説家 そうですね。ウェデキンドの芝居だと、この半時間ばかりの間にも、不遇の音楽家が飛びこんで来たり、どこかの奥さんが自殺したり、いろいろな事件が起るのですが、――御待ちなさいよ。事によると机の抽斗に、まだ何か発表しない原稿があるかも知れません。
編輯者 そうすると非常に好都合ですが――
小説家 (机の抽斗を探しながら)論文ではいけないでしょうね。
編輯者 何と云う論文ですか?
小説家 「文芸に及ぼすジャアナリズムの害毒」と云うのです。
編輯者 そんな論文はいけません。
小説家 これはどうですか? まあ、体裁の上では小品ですが、――