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Japanische Klassiker mit Furigana

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おんなとぼうし

女と帽子

豊島 与志雄

Lesen Sie 女と帽子 (おんなとぼうし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.614 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

その日向のところへ、湯壺から出たあなたは身体をなげ出して、胸や腹や手足の肉体を、ぼんやり眺めていたでしょう。ああして見ると、あなたの肉体もちょっと綺麗ですね。女の肉体よりも、男の肉体の方が、湯上りには恐らく美しいに違いありません。あの時あなたが、前夜接した女の肉体のことを考えていたのなら、眉をしかめても当然なわけですが、あなたは却って、何かうっとりとしていましたね。放蕩というものは、そうしたもので、醜い女の肉体に洗い清められて自分の肉体が益々美しくなるのです。またあの時、ちらとでも、あなたが波江さんの肉体を美しく想像したとすれば、とんでもない間違いですよ。波江さんの肉体なんか、あなたが知った女のそれよりか美しいわけはありません。白粉のつきのわるいあの顔の皮膚から考えても、分るじゃありませんか。

あなたは自分の肉体をうっとりと眺め、それから硝子戸越しに、うすく霞んだ空の一隅を、眩しそうに眺めていましたね。あの時、何を考えていたんですか? ずいぶん長くたってから立ち上ると、両腕を伸したり曲げたり、体操のまねみたいなことをやり、二三度でぐったりして、また湯にはいり、頸筋を湯壺のふちにもたせて、仰向にぷかりと、死人のように浮いていました。