Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなとぼうし
女と帽子
豊島 与志雄
Lesen Sie 女と帽子 (おんなとぼうし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.614 Zeichen · 33 Bildschirme
東京に叔母さんがいた。二人して、日本橋の裏通りに小料理屋をはじめた。初めはどうにかいっていたが、叔母さんが死んだりして、其後店もうまくいかない。もう三十にもま近くなっている。そこで平賀さんから、うやむやのうちに、補助を受け、世話を受ける、というようなことになってしまった。それだけのことで、別に不思議はありませんやね。
表面だけを辿れば、世間のこと万事、不思議はありませんが、裏面に、へんてこな心理の綾ってものがあるんですね。先年、あなたが郷里の福岡に帰った時、波江さんと、母を通じて知りあいになり、当時、波江さんには、まだ女学生の匂いが残っていたし、黒川さんとの結婚談に悩んでいた時だし、あなたも純情だったし、そしてあのお盆の燈籠流しの晩、どういう風の吹き廻しか、二人でキスしましたね。それきり、こいつは私の気に入ったことだが、あなた達はさっぱり別れてしまった――あなたは東京に戻ってくるし、波江さんは結婚してしまった。ところが、波江さんが東京に出て来て、小料理屋をはじめてから、波江さんはあなたに手紙を出すし、あなたはいそいそとそこに出かけていったものですよ。