Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなとぼうし
女と帽子
豊島 与志雄
Lesen Sie 女と帽子 (おんなとぼうし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.614 Zeichen · 33 Bildschirme
頭を風に吹かせる……それが一番大事なことだった。考えてみると、僕はばかな妄想に囚われていた。そもそもの初め、あの昔の燈籠流しの晩のことだって、僕はあの当時、東京で、ひそかに想いをよせてる女があった。その女が、丁度波江と同じくらいの背恰好だった。そのため、あんなことになったんだが、僕の心は、東京のその女にだか、波江にだか、どちらにキスしたのか分らなかった。だから、あのまま何でもなく別れられたんだ。ところが、最近、おかしなことがあった。雨の降る晩だ。僕は酔いつぶれて、あの店の奥の三畳の室に、ぐっすり眠っていた。するうちに、なんだか僕の名前を呼ぶ声がするようなので、なかば夢うつつで耳をかしてみると、話声がしている。――あたしと今村さんと……。――結婚はまさか出来ますまい。――それじゃあ、愛人とか、岡惚れとかってのは。――それもいいが一体、今村君は……。――ないんですの。――……仕様がないですね。金がなくちゃ、面白く遊ぶことも出来ませんし……。――だって、そんなのが却って……よくそう云うじゃありませんか。あたし時々、お小遣をあげて……。たのしみですわ。――そういうのが、空想という……。