Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなとぼうし
女と帽子
豊島 与志雄
Lesen Sie 女と帽子 (おんなとぼうし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.614 Zeichen · 33 Bildschirme
全く、会社の重役という柄じゃない。だが、合名会社で、綿布類をあつかう商売だと聞いてみれば、驚くに当りませんよ。驚いたのは、あの時のあなたの挨拶だ。
「あたし、どうにもやりきれないから、平賀さんにお金の融通をお頼みしたんですけれど……。」――「そんなことをして、あなたは、堕落してもいいんですか。」
その時、波江さんは唇をかんで、冷たい石像のようになりましたよ。女の決意というものは、どんな機縁でどんな方向にむくか分らないものです。生命をかけて信頼出来る真心、それはめったに見出せないものですが、それに縋りついていない限りは、いつも宙に浮いてるようなものですからね。いや、男の決意だって当にはなりませんよ。あなた自身のこと、よく考えたら分るでしょう。
然し、私はあなたに賛成です。悉く賛成ですよ。やはり私が見込んだだけのことはあります。
先日は素敵でした。あれ、学校の学年初めの懇親会とか、そんな会でしたね。あの方面は、何よりも憂欝ですね。みんな月給は少いし、相当の生活はしなければならないし、それかって、職工みたいに夜業をしたりなんかする余分の仕事はないし、僅かの時間を――随って月給を――必死になって固守しながら、隙があったら、いくらでも他人の時間を奪おうとしてるんでしょう。