Japanische Klassiker mit Furigana
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じょよう
女妖
江戸川 乱歩
Lesen Sie 女妖 (じょよう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.691 Zeichen · 20 Bildschirme
「ヒトミさん、ぼくです」
今度は少し大きい声を出した。声は空しく壁に当って帰ってくる。空家の感じだ。腕時計を見た。九時を少しすぎている。外出しているのかしら。まさか違約するはずはない。何か事故が起ったのだろうか。
ふと不吉な想念が頭をかすめた。「おれは彼女のために、陥穽にはまったのではないか」なぜともなく、次の部屋が気になった。そこに自分をおとしいれる何物かが待ちかまえているような気がした。
寝室へのドアは五寸ほどひらいていた。それをもっとひらくのには勇気を要した。しかし、浩一は思いきって、ドアをおした。
ベッドの前の床に、人が寝ていた。男だった。浩一は血が頭からスーッとさがって行くのを感じた。やっぱりそうだった。この男は死んでいるにちがいない。おれは下手人にされるのだ。相川ヒトミの陰謀が見えすくように思われた。アパートの部屋は、この目的のために臨時に数日だけ借りたのかも知れない。そして、あの女はもう、どこかへ行方をくらまして、二度とここへは帰って来ないのかも知れない。おれは、下手人にするために愛されたのだ。……疑惑が先へ先へと走った。
浩一は寝ている男の上から、覗きこんで見た。