Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなごころのつよければ
女心の強ければ
豊島 与志雄
Lesen Sie 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.011 Zeichen · 94 Bildschirme
例えばこんな風にと、彼女は示威運動に、あの二日間、一生懸命に琴をかき鳴らした。
長谷川は腹をかかえて笑った。
「呆れたひとだ。」
「呆れたでしょう。柿沼も兄さんも呆れかえって、話はうやむやになっちゃったの。でもわたしの方は、おかげで、忘れかけてた千鳥の曲のおさらいがすっかり出来てしまった。」
得意そうに微笑してる彼女は、まるで無邪気な少女のように見えた。だが、薄暮の空遠くに眼をやって、呟いた。
「窮すれば、通ずる……。」
「しかし、温泉旅館のお上さんというのも、わるかありませんよ。」
「女中頭にしたって、そりゃあそうよ。」
「普通のひとの羨むぐらいな、りっぱな地位身分じゃありませんか。」
「地位身分……そうだわ。それがわたしの気に入らないの。」
「それじゃあ、ただの女中なら?」
「同じことです。」
きっぱり言いきって、彼女は眼を見据えて考えこんだ。
「わたし、便利すぎたんだわ。」
なんのことか、長谷川には分らなかった。
「何にでも役立つという、便利なものがあったら、面白いでしょうね。室の中の、ここがすいてるからと、そこに据える。ここが淋しいからと、そこに据える。こんな役に立つといっては、それに使う。