Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

Lesen Sie 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.011 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「いや、そんなにきちんと坐っていなくったって、腰掛けても出来るよ。」

「拵えるだけなの。」

「そりゃあね、専門家だもの。」

「拵えるだけじゃあ、退屈よ、きっと。」

「それでは、どうすればいいんだい。」

「あたし、こぎれいな店も、一つほしいわ。」

「もちろん、店も出すのさ。」

「そんなら、賛成よ。そうしましょうか。」

敏子は母の方を、いたずらそうな眼付きで見た。母も振り向いた。

「お店の方は、千代乃さんに出して貰うんだね。あのひともきっと賛成するよ。」

「そうだ。千代乃姉さんをおだててみよう。でも、どうかしら。」

すべて、冗談ではあった。然し、そのあとで、へんに皆黙りこんだ。

それを機会に、長谷川は辞し去ることにした。

自分たちに好意を持ってる菊池親子と、この際、千代乃のことをなにかと話しあうのは、長谷川にとって心嬉しいことではあった。何の懸念もなくそのような話が出来る相手は、外に誰もなかった。けれども、また一方では、そういう相手だから却って、うち明けた話が憚られる点もあった。無用の心配はかけたくないのだ。

無用の心配、そのようなことが頭に浮ぶほど、長谷川はえたいの知れない危惧を感じ、なにか思い沈んでいた。