Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
Lesen Sie 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.514 Zeichen · 36 Bildschirme
そんな時には、いっ時、足の痛みも忘れられ、不思議に健康感がきて、久しぶりに炬燵を離れ、杖にたよって庭を歩いてみたりする。まるで、激しい妬情が病み窶れた夫人の肉体を蘇らせていくようなものである。こんなことが続いて、老夫人は少しずつ活気をとりもどしてきた。勝手口へ下りて、自分から御用聞きへ註文を云うたり、家の内を見廻って掃除の不行届な点を注意する。これまでの仕来りから夫人の身のまわりのことはおしもが勤めることになっているので日に何度となく顔を合せる。こんな子供っぽい顔をしているくせに、よくも悪さが出来るものだ、と憎らしく思う。恩を仇で返すような女だと思う。そう思うたびに、老夫人は気力の弾みを感じる。これが、妙に愉しいので、おしもを見てはひとりでに昂奮するようになる。妬情をかきたててみる。そして、愛情で繋っていた以前よりも、今は、憎悪と妬情からおしもの存在と離れがたいものになってくる。
或る夜のこと、老夫婦が炬燵に温りながらラジオの長唄を聴いているところへ慶太郎が降りてきて、
「今夜はお揃いだから、久しぶりで麻雀でもしましょうか」
と誘いかけた。
唐沢氏も乗気になって、早速おしもを呼んで仕度をさせた。