Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
Lesen Sie 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.514 Zeichen · 36 Bildschirme
子供の頃に、放蕩の父を扱う母の態度を見覚えているので、それを習おうとする心が、いつか、自分をその頃の母に仕立てあげている。けれど、その心を良しとし、それに準じたつもりの自分が、時に、お面でもかぶっているようなよそよそしさで眺められてくる。そして、因襲に馴された自分の、これが仮装の一生か、と夫人は暗い思いに閉されるのだった。
二
おしもが唐沢氏の寵をうけていたということは、老夫人の伊予子にとっては全く思い設けぬことであった。これまで唐沢氏の関りをつけてきた婦人がどれもそれ者であっただけに、おしもと気付いた夫人の愕きは大きかった。不意に、足元から火が燃えたったような遽しい心になって、おろおろと取り乱している自分に気付く。そのくせ、意地悪く澄んだ監視の眼が、おしもの立居を見のがさじと追うている。十九にしては大ぶりな体つきのおしもは、ぼってりと盛りあがった乳房が割烹着の上からあらわな形をみせて、それが、俯向いて息忙しく雑巾がけなどをするたびに、ブリブリとゆれてみえる。老夫人には、そのさまが何んともいえず厭らしく動物的なものに感じられる。顔をそむけ、唾を吐きたいような衝動に駆られる。