Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなひゃっかてん
女百貨店
吉行 エイスケ
Lesen Sie 女百貨店 (おんなひゃっかてん) von 吉行 エイスケ (よしゆきえいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.787 Zeichen · 20 Bildschirme
マツノスケは彼女を見ると番頭を遠ざけてから云った。
「やあ、奥さん。驚くべき美しさですなあ。あんたはいつでも僕に女性にたいする懐疑を棄てさせますよ。」
ミサコはオペラ・バッグから祝儀袋をだすと彼にわたしながら、
「妾はあんたのお世辞をきくともう夢中になってしまっているのよ。しかし妾は宣伝はわすれないわ。幕間はあんた、場内の視聴を妾に貸してちょうだい。」
マツノスケはわざと豪快にわらってから、
「やあ、有がとう。今夜で千秋らくになると、わっちは関西でふたを開けやすが、あんたはどうなさる。」
すると彼女の眼が烱々とかがやいた。欲情的に声をふるわせてミサコが云う。
「それはね、マツノスケ。妾はね、あんたに離れてはいられぬし、かたがた大阪に急用があって今夜これから出発するわ。妾、待っていてよ。」
「お後をしたって。」と頭を掻きながらマツノスケは苦笑して云った。奈落から拍子木がさえた音をたてた。
マツノスケに別れると、ミサコはそのまま楽屋口から冷たい街路に出た。
出発半時間前、中央ステイションのプラット・ホームには、ミサコの夫と彼女の女弟子たち、カリタ夫妻が彼女を見送りにきていた。