Japanische Klassiker mit Furigana
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ようば
妖婆
Lesen Sie 妖婆 (ようば) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.473 Zeichen · 73 Bildschirme
殊に車が両国橋へさしかかった時、国技館の天に朧銀の縁をとった黒い雲が重なり合って、広い大川の水面に蜆蝶の翼のような帆影が群っているのを眺めると、新蔵はいよいよ自分とお敏との生死の分れ目が近づいたような、悲壮な感激に動かされて、思わず涙さえ浮めました。ですから車が橋を渡って、泰さんの家の門口へやっと梶棒を下した時には、嬉しいのか、悲しいのか、自分にも判然しないほど、ただ無性に胸が迫って、けげんな顔をしている車夫の手へ、方外な賃銭を渡す間も惜しいように、倉皇と店先の暖簾をくぐりました。
泰さんは新蔵の顔を見ると、手をとらないばかりにして、例の裏座敷へ通しましたが、やがてその手足の創痕だの、綻びの切れた夏羽織だのに気がついたものと見えて、「どうしたんだい。その体裁は。」と、呆れたように尋ねました。「電車から落っこってね、鞍掛橋の所で飛び降りをしそくなったもんだから。」「田舎者じゃあるまいし、――気が利かないにも、ほどがあるぜ。だが何だってまた、あんな所で、飛び降りなんぞしたんだろう。」――そこで新蔵は電車の中で出会った不思議を、一々泰さんに話して聞かせました。