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Japanische Klassiker mit Furigana

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ようかいほうこく

妖怪報告

井上 円了

Lesen Sie 妖怪報告 (ようかいほうこく) von 井上 円了 (いのうええんりょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.653 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

しかして、その夜おそらくは、「火事よ」の声のありしを、睡眠中かすかに聞き得しならん。このとき、耳官はその用をなしおるも、他の諸機関はすべて熟睡のありさまにてあれば、ここに心象は意志の管束もなければ、火事の声をかすかに聞くと同時に、この男が旧縁の家(それは平生念頭にかかりおりし)と連合し、ついにかかる夢を結びしならん。その厨より起こるを夢みしとは、おそらくは夢中、確然と厠とは見えまじ、木小屋か物置きのようなる所より起こりしと見しならん。また時節柄、放火が流行するとか、しめりなくして乾きおるとかにて、火の心配たえず心にかかりおれば、かかる夢は希有のことにもあらざるべし。しからば、他の家に起こりし火事にても、この男がもし夢みたらんには、旧縁の家と夢みるならん。不幸にその家と結び付きしは、おそらくは偶然のことならん。すなわち、某氏の家より火が起こりしことは、夢の的中というよりも、むしろ偶合として可ならん」と。

出典 『哲学館講義録』第一期第三学年第七・八・九・一〇・一一・一六号、明治二三(一八九〇)年三月八・一八・二八日、四月八・一八日、六月八日、巻末、一―二、一―二、一―二頁。