Japanische Klassiker mit Furigana
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いもうとのし
妹の死
中 勘助
Lesen Sie 妹の死 (いもうとのし) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.837 Zeichen · 18 Bildschirme
それがあとにも先にも私が手をくだして世話をしてやったたった一度である。枕もとには見舞にもらった西洋水仙の鉢植えがおいてあったが、あれほど花が好きだった妹ももうそれをみようともしなかった。私が買ってきて壁にとめた版画にもただ きれいだこと と気のないひと言をくわえただけだった。窓のまえにはポプラーと夾竹桃の若木があって幾羽かの鳩がよく餌をひろっていた。天神様からきたのだろう。
たしかこのことのあった翌翌日の朝だった。病院から急の迎いがきたのでとりあえずいった。××さんは海峡をこえて往診に出た留守だった。いつもおいてゆかれるのをいやがってひきとめるのがその日は 気分がいいから といって承知したのだそうだ。で、つきそいの者だけしかいなかった。妹は唇の色もなくなっていた。私と母の顔をみて
「苦しい。唇をしめして」
と虫のようにいった。起きあがって坐ってるうちにうつぶせに倒れて脈が非常に悪くなってたのをようやく注射でとりとめたのだという。私は 予期した時がきたな と思った。注射のためにちょっと気力をとりかえしたとき妹は
「私もう今日はごはんたべない」
といった。いつも叱られて強いて食事をさせられるのだ。