Japanische Klassiker mit Furigana
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つまのざ
妻の座
壺井 栄
Lesen Sie 妻の座 (つまのざ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 82.695 Zeichen · 165 Bildschirme
帰るとき、娘たちは野村に促され、揃って玄関に出て来た。何という美しさであろう。ことに十九になった筈の長女はいかにも年頃らしく、におうような顔つきだった。色の白い、うぶ毛に包まれたようなその顔は、山茶花の花のようにやわらかな皮膚の色をみせていたが、あのはじめて閑子を迎えにきたときの無邪気さはなく、長いまつ毛はいんうつに伏せられていた。下の子だけは無邪気に笑っている。
この娘たちの母に、閑子はなれなかったのだ。みんな可愛い娘たちなのに――
ミネはいいようもなく惜しい気がした。
「お母さん、一しょに寝ましょうよ。」
そういって勝手に閑子の布団を自分たちのそばにしいたという無邪気な小さな娘、閑子を父親の妻ではなく自分たちの母として迎えたらしい子供たちは、あのいやな日をどんな思いでしのいだことだろう。
外はもう暗くなっていた。貞子もミネもだまって歩いたが、路地を出ると貞子は、
「野村さん、ふけたわねえ。」
ぐうっと顔を斜めにして押さえるようにいった。
「そうね、ずい分、白髪ねえ。」
ついでに川原の家へよると、川原の田舎の妹の澄子がひとりで留守番をしていた。入れ代って夫婦が田舎へいったということだった。