Japanische Klassiker mit Furigana
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つまのざ
妻の座
壺井 栄
Lesen Sie 妻の座 (つまのざ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 82.695 Zeichen · 165 Bildschirme
「おべんとだって三人分となると肩がこるわよ、わたしが持っていこうか。」
近ごろ急に弱くなったミネの身を案じて正子はそんなこともいった。
「まさか、戦争中は買出しにもいったんだからね。それを思えばお茶の子さ。」
しかし、混んだ乗ものにゆられていると三人分の弁当は相当に重く、ミネは何度も手をかえた。だがそれで腹が立つというのでもない。それどころか、今日のミネはそれが楽しくさえあった。久しぶりに自分で作った弁当、いり玉子にハムのきざんだの、配給のアミの佃煮を煮なおし、とろろこんぶと小蕪の漬物、紅しょうがもそえた。黄と桃色と茶色と白と、蕪の葉がもえたつ若葉のように美しい。とりどりの色を楽しんで念入りに並べていて、そんなことで弁当はおくれたのであった。正子にまかせた昨日の弁当は、梅干入りのむすびだった。それがあまりに侘しく、私たちのお祭りなんだからふんぱつしようと、いうことになったのだ。それを悠吉が知ろう筈がない。弁当を開いて悠吉は驚くだろうか。梅干入りのむすびに不平もいわぬ悠吉は今日の弁当にも特別の感興はもたないかもしれない。こんなことは女の甘い考えでしかないのかもしれない。