Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うばすて

姥捨

太宰 治

Lesen Sie 姥捨 (うばすて) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.853 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

眠った。ずるずる滑っているのをかすかに意識した。

寒い。眼をあいた。まっくらだった。月かげがこぼれ落ちて、ここは?――はっと気附いた。

おれは生き残った。

のどへ手をやる。兵古帯は、ちゃんとからみついている。腰が、つめたかった。水たまりに落ちていた。それでわかった。崖に沿って垂直に下に落ちず、からだが横転して、崖のうえの窪地に落ち込んだ。窪地には、泉からちょろちょろ流れ出す水がたまって、嘉七の背中から腰にかけて骨まで凍るほど冷たかった。

おれは、生きた。死ねなかったのだ。これは、厳粛の事実だ。このうえは、かず枝を死なせてはならない。ああ、生きているように、生きているように。

四肢萎えて、起きあがることさえ容易でなかった。渾身のちからで、起き直り、木の幹に結びつけた兵古帯をほどいて首からはずし、水たまりの中にあぐらをかいて、あたりをそっと見廻した。かず枝の姿は、無かった。

這いまわって、かず枝を捜した。崖の下に、黒い物体を認めた。小さい犬ころのようにも見えた。そろそろ崖を這い降りて、近づいて見ると、かず枝であった。その脚をつかんでみると、冷たかった。