Japanische Klassiker mit Furigana
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うばすて
姥捨
Lesen Sie 姥捨 (うばすて) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.853 Zeichen · 29 Bildschirme
さいしょ田舎の小学校の屋根や柵が映されて、小供の唱歌が聞えて来た。嘉七は、それに泣かされた。
「恋人どうしはね、」嘉七は暗闇のなかで笑いながら妻に話しかけた。「こうして活動を見ていながら、こうやって手を握り合っているものだそうだ。」ふびんさに、右手でもってかず枝の左手をたぐり寄せ、そのうえに嘉七のハンチングをかぶせてかくし、かず枝の小さい手をぐっと握ってみたが、流石にかかる苦しい立場に置かれて在る夫婦の間では、それは、不潔に感じられ、おそろしくなって、嘉七は、そっと手を離した。かず枝は、ひくく笑った。嘉七の不器用な冗談に笑ったのではなく、映画のつまらぬギャグに笑い興じていたのだ。
このひとは、映画を見ていて幸福になれるつつましい、いい女だ。このひとを、ころしてはいけない。こんなひとが死ぬなんて、間違いだ。
「死ぬの、よさないか?」
「ええ、どうぞ。」うっとり映画を見つづけながら、ちゃんと答えた。「あたし、ひとりで死ぬつもりなんですから。」
嘉七は、女体の不思議を感じた。活動館を出たときには、日が暮れていた。かず枝は、すしを食いたい、と言いだした。嘉七は、すしは生臭くて好きでなかった。