Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かしまし(かしまし)

姦(かしまし)

久生 十蘭

Lesen Sie 姦(かしまし) (かしまし(かしまし)) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.914 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

さっぱりと溜飲をさげて、どう出るだろうと思って高見の見物をしていると、志貴子がいきなりあたしのそばへ来て、わざと木津さんに聞えるような高ッ調子で、「そこにいやはりますのン、木津さんやありませんの」と耳こすりをするじゃありませんか。まさか、そんな出かたをするとは思わない。そこにいるのは、なんといったって木津さんにちがいないんですから、思わず、ええ、そうよ、とうなずいちゃったの。すると志貴子はシナシナしながら木津さんの前へ行って、「木津さんとちがいますか。うち、志貴の妹の志津子ですのン。何年前でしたか知らん、いちど神戸でお目にかかってます」てなことをいって、お辞儀をしたもんです。……

憎らしいでしょうとも。でも、腹をたてるなら、もっと後にしたほうがよくってよ……木津さんのほうも、いっこうに驚かない。白扇を斜にかまえて、「ああ、志津子さん、何年前でしたか、いちどお目にかかりました。引揚船で、上海からお帰りなったことは聞いていましたが、かけちがってお目にもかかれず」なんて、おなじようなことをいって、とめどもなくお辞儀のしあいをしているんですから、阿呆らしいやらバカらしいやら、どっちもどっちだと思って、見ているあたしのほうが悲しくなっちゃったわ。