Japanische Klassiker mit Furigana
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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
Lesen Sie 婦人と文学 (ふじんとぶんがく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.792 Zeichen · 351 Bildschirme
とかきしるした動機には、桃水の容貌ばかりでなく、一葉の若い心情をつよくとらえたものがあったと考えられる。
二年ごしひとりで苦しみながらあてもなく焦立っていた自分の小説について、桃水が新聞向きの作風ではないからと一葉の気質を鑑定した上、紅葉に紹介しようと云ってくれたことも、それこそが眼目で紹介されて来ている一葉にとって前途のひらけてゆくうれしさであったろう。母と妹とが、生活の上では彼女ひとりにとりすがって、息をこらし気配をうかがっているような負担を夜昼感じている一葉にとって、青年同士と思って語り合おうと云ってくれる男のひとのいることは、どんなにか頼もしく感じられただろう。
だが、もし半井桃水という男が、同じ親切を示しながらも、金持ちの子息であって、同じように小説をかいていたとしても、万端整然たる上流貴公子の生活をしていたのであったら、一葉の感情はどう動いて行っただろう。借金とりをさけて、かくれ家にとりちらしたままの男世帯の有様を見せるような桃水のくらしでなかったら、一葉は、師たり兄たりと思う意識の底に、果してあのようなさざなみ立った情緒を経験しただろうか。