Japanische Klassiker mit Furigana
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よめとりむことり
嫁取婿取
佐々木 邦
Lesen Sie 嫁取婿取 (よめとりむことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.654 Zeichen · 175 Bildschirme
食後には、
「打ん撲ってやりたいくらいだ」
とさえ言った。苦労をかける息子が憎くて仕方がない。しかし日が暮れてから頓に気が弱くなった。このまゝ戻って来なかったら何うしようかと思った。母親は俊一君の書斎へ行って、念の為めとはいえ、書置の有無を検めた。待ち佗びるにつれて、悪いという悪いことばかり考える。空しく九時が過ぎて十時近くになった時、両親は不安のドン底に沈んだ。もう註文も何もない。無事で帰って来てさえくれゝば、万事大目に見て、堪忍することに、言わず語らず、一致していた。俊一君はそこへ斎藤さんを伴って現われたのである。但しこれは絹子さんの入れ智恵だった。
「誰かお父さんに特別信用のある方はない?」
「さあ」
「ありましょう?」
「あります」
「誰?」
「斎藤さんといって、同僚です。春子の仲人をしてくれた人です」
「その方が宜いわ。その方をつれてお帰りになって、仰有って戴けば宜いわ。然うして頂戴。ねえ、あなた」
と絹子さんが悃願した。
「…………」
「駄目?」
「いや、しかし……」
「いけませんの?」
「一寸切り出し悪いんです」
「あなたが仰有るんじゃないのよ。その方に仰有って戴くのよ」