Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

Lesen Sie 嫁取婿取 (よめとりむことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.654 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

後の烏が先になっては困るから、二郎君は昨今両親の胸中に可なり大きな屈託を占めている。

「二郎や」

とお母さんが呼ぶ時は必ず受験のことだ。

「何ですか?」

「お前は一層のこと高円寺の兄さんの学校へ入れて戴いちゃ何う?」

「駄目ですよ」

「何故?」

「あすこもお父さんのお嫌いな私立です」

「私立でも、あすこなら高等学校ですから、帝大へ行けますよ」

「僕は帝大へは行きません」

「早稲田? 矢っ張り」

「はあ」

「お前は暮中考えてお父さんに申上げる筈じゃなかったの?」

「はあ」

「能く考えて見て?」

「はあ」

「仕方のない人ね」

「はあ」

と二郎君は少し自暴になっている。

その晩、お母さんから督促があったと見えて、お父さんは二郎君を書斎へ呼び入れた。

「二郎や」

「はあ」

「イヨ/\年も改まって、この頃は勉強しているだろうな?」

「はあ、やっています」

「高等学校は何処を受けることに決心がついたね?」

「何処も受けないことに決心しました」

「ふうむ」

「…………」

「矢っ張り私立かい?」

「はあ」

「それも宜かろう」

とお父さんは実際問題上、二郎君の勉強振りでは覚束ないことを承知している。しかし官学万能論者が見す/\自分の息子を私立へ入れるのは忌々しくて仕方がない。