Japanische Klassiker mit Furigana
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よめとりむことり
嫁取婿取
佐々木 邦
Lesen Sie 嫁取婿取 (よめとりむことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.654 Zeichen · 175 Bildschirme
「そんなにお憤りになっちゃ困りますわ」
「何よ? 一体」
「私、この間の日曜から苦に病んでいますのよ」
「何さ? 早く仰有いよ」
「兄さんはこの前の日曜に何処へお出になったか、お母さんは御存知?」
「郊外散歩でしょう?」
「井の頭公園へいらしったのよ。誰と御一緒だとお思いになって?」
「お友達でしょう?」
「男のお友達だとお思いになって?」
「当り前じゃありませんか?」
「お母さん、兄さんは断髪のモダン・ガールと一緒に行ったのよ」
「まあ!」
「それも手に手を取るようにしてよ」
「春子や」
「はあ?」
「好い加減になさいよ」
「お母さん、本当よ」
「それじゃお前、見たの?」
「いゝえ、三郎が見て来て申しましたの。この前の日曜に伺って、家へ帰る途中、省電の中だそうでございます。兄さんは新宿からその方と御一緒に乗って……」
と春子さんは三郎君から聞いた通りを掻い摘んで話した後、
「私、何うしたものでしょうね? 兄さんに三郎の悪口を言われゝば兄さんが憎らしくても、三郎から兄さんのことを言われゝば矢っ張り腹が立って、晩に少し機嫌を悪くして上げましたの」
とシミ/″\言った。兄弟は他人の始まりだが、同時に切っても切れない五本の指だ。