Japanische Klassiker mit Furigana
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うかのちょうじゃものがたり
宇賀長者物語
田中 貢太郎
Lesen Sie 宇賀長者物語 (うかのちょうじゃものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.427 Zeichen · 19 Bildschirme
長者は黙って頷ずいて、じっと壮い男の顔を見おろしておりましたが、「ふむ、此奴は、この間の奴だな、まだ赤餅の味を知らんと見えるな」と嘲るように笑って、家の内を揮り向いて云いました。「おい、赤餅を持って来い」
壮い男は首を縮めて俯向いておりました。見張の男は背後の方で、手鼻をかむ音をさせました。長者は室の内をあっちこっちと歩きだしました。
年とった僕が赤く焼いた火箸のような鉄片を持って出て来ました。握る処には濡れた藁縄を巻いてありました。長者はそれを受けとると、庭に下りて壮い男の前に立ちました。
壮い男は恐れて気が遠くなっておりました。彼にはもう長者の云う詞が判りません。長者は何か云いながら焼いた鉄片を壮い男の額に当てようとしました。
「父さん、父さん」と云う声がしました。長者は背後を向いて室の方を見ました。紫色の衣を着た起きたばかりの一人女が立っておりました。
「父さん、お伊勢様へ往くのに、そんなことをなさらんが好いではありませんか」と、女は云いました。
長者は二三日すると伊勢参宮をすることになっておりました。長者はなるほどと思いました。併し逃亡しようとした奴隷をそのままにして置くわけには往きません。