Japanische Klassiker mit Furigana
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あんごこうだん
安吾巷談
Lesen Sie 安吾巷談 (あんごこうだん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.016 Zeichen · 48 Bildschirme
かねて聞き及ぶ新宿で飲んでみようと思いましてね。そんなワケで、この土地にナジミの飲み屋がないでしょう。お勘定が千円なんですが、私は現金は八百円しか持ち合せがない。しかし今日集金した三万円の小切手があるから、これでツリをくれと云ったら、ツリはやれん、小切手はこまる、現金でなくちゃいかんと云うんです。冗談じゃない。この小切手は横線じゃない、銀行さえ開いてりゃ、誰がいつでも現金に換えられる小切手でさアね。ほら、ごらんなさい」
男は三万円の小切手をとりだしてみせた。私は小切手のことは皆目知らないが、不渡りかどうか、交番で鑑定のつく品物ではなさそうだ。しかし伊達男は苦味走った笑みをたたえて悠々たるもの。
「小切手じゃアどうしてもいけないてんだから弱りましたよ。持ち合せが八百円しかないんだから、二百円貸しとけ、と言ったら、それもいけない。ナジミじゃないんだから、耳をそろえて千円払えてんですよ」
「それはなんて店ですか」
「さア、なんてんだか」
男は口ごもっている。巡査はフシギがって、
「今ごろ、まだ営業してるんですか。なんて店ですか。店の者をつれてらッしゃい」
「それがねえ、じゃア交番へ行って話をつけようと云ったら、交番はいけない、とこう云うんです。