Japanische Klassiker mit Furigana
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じっけんしつのきおく
実験室の記憶
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 実験室の記憶 (じっけんしつのきおく) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.440 Zeichen · 13 Bildschirme
ちょっと向うがこちらの気に負けて静止した時を逸せず狙わなければ逃げてしまう。この感じは、実は研究全体についてもいえるのである。
一歩一歩と足場をかためて、一つ一つの点では二度と気を煩わされなくてもよいように、きちっと片をつけて進むといっても、それは相手であるところの自然法則を据え物と見ているのではない。いよいよ最後の測定に直面した時には、生きものを相手とするのである。10-6ミリの真空は真空として出来上がり、10-12アンペアの電位計の調整はまた別にそれだけはいつでも完全に用意されているというふうにして、さて測定にとりかかるというのではない。全部にわたって一応の足固めができたところで、すべての測定要素を最後の段階にじりじりと高めて行って、そこで一つの資料がとれるのである。この満を持している間に、つまらぬところでひっかかりが出来ないために一々の足場をあらかじめ固めておくのである。
雪の場合のように目標が茫漠としていて、手探りの盲目飛行の中で、一点の雲の切れ目を捕えて、機を逸せずその方へ突入して行くようなことをくり返して行く仕事では、小出しに満を持しては、次ぎ次ぎと矢を放ってみる必要がある。