Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「まあ、豊世さん――」
お雪は襷を釈した。張物もそこそこにして、正太の細君を迎えた。
「叔母さん、真実にお久し振ですねえ」
豊世は入口の庭で言って、絹の着物の音をさせながら上った。
久し振の上京で、豊世は叔母の顔を見ると、何から言出して可いか解らなかった。坐蒲団を敷いて坐る前に、お房やお菊の弔みだの、郷里に居る姑からの言伝だの、夫が来てよく世話に成る礼だのを述べた。
「叔母さん、私もこれから相場師の内儀さんですよ」
と軽く笑って、豊世は自分で自分の境涯の変遷に驚くという風であった。
「種ちゃん、御辞儀は?」とお雪は眼を円くして来た子供に言った。
「種ちゃんも大きく御成なさいましたねえ」
「豊世叔母さんだよ、お前」
「種ちゃん、一寸来て御覧なさい。叔母さんを覚えていますか。好い物を進げますよ」
種夫は人見知りをして、母の背後に隠れた。
「種ちゃん幾歳に成るの?」と豊世が聞いた。
「最早、貴方三つに成りますよ」
「早いもんですねえ。自分達の年をとるのは解りませんが、子供を見るとそう思いますわ」
その時、壁によせて寝かしてあった乳呑児が泣出した。お雪は抱いて来て、豊世に見せた。