Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
三吉は老婆の方へ引返した。
「もう一度、私は行って見て来ます」
老婆は考深く、「御嬢様も、もうそれでも御帰りに成りそうなものですね」
「何処ですか、そのお仙ちゃんの見えなく成ったという処は」
「なんでも奥様が御一緒に買物を遊ばしまして――ホラ、電車通に小間物を売る店が御座いましょう――彼処なんで御座いますよ。奥様は、御嬢様が御側に居らッしゃることとばかり思召して、坊ちゃまに何か御見せ申していらしったそうですが、ちょっと振向いて御覧なさいましたら、最早御嬢様は御見えに成らなかったそうです。それはもう、ホンのちょっとの間に……」
それを聞いて、三吉は出て行った。
二度目に彼が引返して、暗い石垣の下までやって来ると、お種は娘の身の上を案じ顔に、玻璃障子のところに立っていた。
「姉さん、お仙ちゃんは?」と三吉は往来から尋ねてみた。
「未だ帰らない」
という姉の答を聞いて、三吉も不安を増して来た。
「三吉」とお種は弟を家の内へ入れてから言った。「お前は今夜、是方で泊ってくれるだろうネ」
「ええ、とにかく行って坊主を置いて来ます――それから復たやって来ましょう」
「ああそうしておくれ。