Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

「もう大丈夫」

と正太も階下から上って来た。三人は無言のまま、一緒に火を眺めて立っていた。雨戸を閉めて置いて、三人は階下へ下りた。まだ往来は混雑していた。石段を上って来て、火事見舞を言いに寄るものもあった。正太は心の震動を制えかねるという風で、

「叔父さん、済みませんが下谷の警察まで行って下さいませんか……浅草の警察へは今届けて来ました」

「お仙も」とお種は引取って、「ああいう神様か仏様のようなやつだから、存外無事で出て来るかも知れないテ」

「お仙ちゃんは、ここの番地を覚えていますまいね」と三吉が聞いた。

「どうも覚えていまいテ」とお種は歎息する。

「なかなか車に乗るという智慧は出そうもない――おまけに、一文も持っていない」と正太も附添した。

三吉は思い付いたように、老婆の方を見て、「老婆さん、貴方はあの路地のところへ行って、角に番をしていて下さい。じゃあ私は下谷の警察まで行って来ます」

夜は更けて来た。火事の混雑の後で、余計に四辺はシーンとしていた。青ざめた街燈の火に映る電車通には、往来の人も少なかった。柳並木の蔭は暗い。路地の角に、豊世と老婆の二人が悄然立って、見張をしている。