Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
身体を動かさずにいると、可恐しい子供の呼声が耳の底の方で聞える。「母さん、母さん、母さん――母さんちゃん――ちゃん――ちゃん――ちゃん」宛然、気が狂ったような声だ……それは三吉の耳について了って、何処に居ても頭脳へ響けるように聞えた。
夢のように、門を叩く音がした。
「小泉さん、電報!」
むっくと三吉は跳起きた。表の戸を開けて、受取って見ると、病院から打って寄したもので、「ミヤクハゲシ、スグコイ」とある。お延を起す為に、三吉は姪の寝ている方へ行った。この娘は一度「ハイ」と返事をして、復た寝て了った。
「オイ、オイ、病院から電報が来たよ」
「あれ、真実かなし」とお延は田舎訛で言って、床の上に起直った。「私は夢でも見たかと思った」
「叔父さんは直に仕度をして出掛る。気の毒だが、お前、車屋まで行って来ておくれ」
と叔父に言われて、お延は眼を擦り擦り出て行った。
三吉が家の外に出て、車を待つ頃は、まだ電車は有るらしかった。稲荷祭の晩で、新宿の方の空は明るい。遠く犬の吠える声も聞える。そのうちに車が来た。三吉は新宿まで乗って、それから電車で行くことにした。
「延、お前は独りで大丈夫かネ」