Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「正太さんの手紙に、『私は未だ若輩の積りで、これから大に遣ろうと思ってるのに、妻は最早老に入りつつあるか……そう思うと、何だか感傷の情に堪えない』――なんて」
それを聞いて、豊世はお雪と微笑を換した。名古屋から送るべき筈の金も届かないことを、心細そうに叔父叔母の前で話した。
二階から見える町家の屋根、窓なぞで、湿っていないものは無かった。空には見えない雨が降っていた。三人は、水底を望んでいるような、忍耐力の無い眼付をして、時々話を止めては、一緒に空の方を見た。どうかすると、遠く濡れた鳥が通る。それが泳いで行く魚の影のように見える。
「豊世さん――一体貴方は向島のことをどう思ってるんですか」三吉が切出した。
「向島ですか……」と豊世は切ないという眼付をして、「何だか私は……宅に捨てられるような気がして成りませんわ……」
「馬鹿な――」
「でも、叔父さんなぞは御存ないでしょうが、宅でまだ川向に居ました時分――丁度私は一時郷里へ帰りました時――向島が私の留守へ訪ねて来て、遅いから泊めてくれと言ったそうです。後で私はそのことを先の老婆から聞きました。よく図々しくも、私の蒲団なぞに眠られたものだと思いましたよ。