Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「宅がよく申しましたよ、是方へ上って御話をしてると、自分の塞がった心が開けて来るなんて、そう言っちゃあ吾家を出掛けました……どうかすると、宅が私に、『三吉叔父さんは僕の恋人だ』なんて……」
三吉は噴飯して了った。お雪は巻煙草の灰を落しながら、二人の話を聞いていた。
「もうすこし宅も仕事を為そうなものですが」と豊世は考えるように。
「畢竟、楽むように生れて来た人なんですネ。橋本のような旧い家に、ああいう人が出来たんですネ」
「……」
「吾儕の親類の中で、絵とか、音楽とか、芝居とかに、あの人ぐらい興味を持つ人は有りません。そのかわりああいう人に仕事をさせると――どうかすると、非常に器用な素人ではあっても、無器用な専門家には成れないことが有ります」
「そういうものでしょうかねえ……」
「一体、正太さんは人懐こい――だからあんなに女から騒がれるんでしょう」
豊世は苦いような、嬉しいような笑い方をした。
入口の庭の隅には、僅かばかりの木が植えてある。中でも、八手だけは勢が好い。明るい新緑は雨に濡れて透き徹るように光る。青々とした葉が障子の玻璃に映って、何となく部屋の内を静かにして見せた。