Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「彼女は病人を引受けてるで……俺がまた入替りに成って、彼女をも寄すわい……御風呂にでも入れてやって御くれ」
こうお種は物静かな調子で答えた。
病院の方へ心が引かれて、お種はそこそこに別れて行ったが、燈火の点く頃には、豊世が入替ってやって来た。豊世は行末のことまでも考えるという風で、沈み勝ちに見えた。その晩は遅く成って、豊世の兄、幸作の二人が郷里の方からこの旅舎へ着いた。
翌日の午前は、小泉兄弟を始め、ここへ来て脚絆を解いた人達が一つ部屋に集って、正太が亡く成った後のことまでも話し合った。
「や、名古屋へ来て、ここの家の娘の踊を見ないということは無い」
と森彦が款待顔に言出した。彼は宿の小娘を呼んで、御客様に踊を御目に掛けよ、老婆さんにも来て、三味線を引くように、と笑い興じながら勧めた。
こういう中で、正太は病みつつあった。午後に一同が病院を訪ねた時は、正太は興奮した気味で、皆なの見ている前で手足なぞを拭かせたが、股のあたりの肉はすっかり落ちていた。嘔気があるとかで、滋養物も咽喉を通らなかった。正太は、豊世の兄と三吉の二人を特に寝台の側へ呼んで、母や妻の聞いているところで、種々と後事を托した。