Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
長いこと叔父甥は手を握り合っていた。やがて三吉が別れを告げて行こうとすると、正太は周章てて叔父の解いた手に取縋るようにして、
「僕も勇気を奮い起して、是非もう一度叔父さんに御目に掛ります……」
と言いながら、堅く堅く叔父の手を握り〆た。一度に込上げて来るような涙が正太の暗い顔を流れた。
「オオ、そうだとも……」
側に居たお種は吾児を励ますように言って、思わず両手で顔を掩うた。次の部屋には、幸作が坐って、頭を垂れていた。
長い廊下の突当りには消毒する場所があった。三吉はそこで自分の手をよく洗って、それから姉にも別れを告げた。正太は寝ながら、よく見て置こうとするような眼付をして、叔父を見送った。その時は豊世は室に居なかった。幸作は病院の出口まで随いて送って来た。門を離れて、三吉は激しく泣いた。
「どうして、十日や二十日で死ぬようなものでは無いぞ。でも、正太も、下手に遺言なぞをしないところは、一寸彼も考えてる」こう森彦の旅舎で人々が言い合うのを聞き捨てて、その晩三吉は名古屋を発った。夜行汽車の窓は暗かった。遠い空には稲妻が光って、それが窓の玻璃に映ったり消えたりした。