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Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

暗い庭の方へ向いた部屋には、叔父が冷しい夜風の吹入るところを選んで、独り横に成っていた。叔父は別に燈火も要らないと言うので、三人の姪の居るところだけ明るい。一つにして隅の方に置いた洋燈の光は、お鶴が白い単衣だの、お俊が薄紅い帯だのに映った。

「鶴ちゃん、叔父さんに遊戯をしてお見せなさいよ」とお俊がすすめた。

「何にしましょう……」とお鶴は考えて、「もしもし亀よにしましょうか」

「浦島が好いわ」

旧い小泉の家――その頽廃と零落との中から、若草のように成長した娘達は、叔父に聞かせようとして一緒に唱歌を歌い出した。お鶴は編み下げた髪のリボンを直して、短い着物の皺を延しながら起立った。姉や従姉妹が歌う種々な唱歌につれて、この娘は部屋の内を踊って遊んだ。

三吉は縁側の方から眺めながら、

「ウマい、ウマい――何か、御褒美を出さんけりゃ成るまい」

「鶴ちゃん、もう沢山よ」

と姉に言われても、妹は遊戯に夢中に成った。一つや二つでは聞入れなかった。

一晩泊ってお鶴は帰って行った。翌日から勝手の方では、若々しい笑声が絶えなかった。四五日降ったり晴れたりした後で、烈しい朝日が射して来た。