Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
私がツケツケ言うもんですからネ、『お前はイケナい奴に成った、今まではもっと優しい奴だと思っていた』なんて、吾夫がそう言って笑うんですよ……でも、貴方、今までのような大きな量見でいられると、失敗するのは眼に見えています。どの位私達が苦労をしたか分りませんからネ――真実に、三吉さんなぞは堅くて好い」
三吉は額へ手を当てた。
間もなくお倉は、種々と娘の世話を焼きながら、連立って出て行った。
両国橋辺の混雑を思わせるような夕方が来た。三吉は燈火も点けずに、薄暗い部屋の内に震えながら坐っていた。何となく可恐しいところへ引摺込まれて行くような、自分の位置を考えた。今のうちに踏留まらなければ成らない、と思った。しばらく忘れていた妻のことも彼の胸に浮んだ。次第に家の内は暗く成った。遠く花火の上る音がした。
「残暑きびしく候ところ、御地皆々さまには御機嫌よく御暮し遊ばされ候由、目出度ぞんじあげまいらせ候。ばば死去の節は、早速雪子御遣わし下され、ありがたく存じ候。御蔭さまにて法事も無事に相済み、その節は多勢の客などいたし申し候。それもこれも亡き親の御蔭と存じまいらせ候。