Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
「好い児だ――好い児だ――ねんねしな――」
眠たい子守歌をお房に歌ってやりながら三吉は自分の声に耳を澄ました。お雪はよく働いた。
裏の畠には、前の年に試みた野菜の外に茄子、黄瓜などを作り、垣根には南瓜の蔓を這わせた。ある夕方、三吉が竹箒を持って、家の門口を掃除したり、草むしりをしたりしていると、そこへ来て風呂敷包を背負った旅姿の人が立った。
橋本の大番頭、嘉助が行商の序に訪ねて来たのであった。毎年の例で、遠く越後路から廻って来たという。この番頭の日に焼けた額や、薬を入れた籠の荷物を上り端のところへ卸した様子は、いかに旅の苦痛に耐えて、それに又慣らされているかということを思わせる。嘉助は草鞋の紐を解いて上った。
「是方でも子供衆が出来さっせえて、御新造さんも手が有らっせまいで、寄るだけは寄れ、御厄介には成るな――こう姉様から言付かって来ました」と嘉助が言った。
「まあ、そんなことを言わなくても可い。是非泊って行って下さい、姉さんの家の話も種々伺いたい」
と三吉は引留めて、一年に一度ずつ宿をすることに定めていると言った。お雪も勝手の方から飛んで来た。
嘉助は橋本の家を出て最早足掛二月に成るという。