Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

音楽や文学の話が始まった。蜂と蟻と蜘蛛の生活に関する話なども出た。

「こういう田舎で御座いますから、何にも御構い申すことが出来ません」

とお雪は、子供を抱きながら、取寄せたものを持運んで来た。

「まあ、房ちゃんで御座いますか」

と曾根は可懐しげに言って、お雪の手から子供を借りて抱いてみた。膝の上に載せて、頬を推当てるようにもしてみた。お房は見慣れない他の叔母さんを恐れたか、声を揚げて泣叫ぶ。土産にと用意して来た翫具を曾根が取出して、それを見せても、聞入れない。お雪はこの光景を見ていたが、やがてお房を抱取って、炉辺の方へ行って了った。

暫時、曾根は耳を澄まして、お房の泣声を聞いていた。

「昨晩は――私は眠られませんでした」

と曾根が言って、避暑地の霧に悩まされていることなどを話出した。彼女は、何かこうシッカリと捉まる物でも無れば、自分の弱い体躯まで今に何処へか持って行かれて了うような眼付をした。

「日記といえば」と曾根は又思出したように、「私も日記をつけてみましたけれど……不平なようなことばかりで、面白くないものですから、大晦日の晩に焼いて了いました。そして、元日に遺言状を書きました。