Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
「三吉。すこし御免なさいよ」とお種は鏡の前に坐りながら言った。「私は花が好きだで、今年も丹精して造りましたに見て下さい――夏菊がよく咲きましたでしょう」
三吉は庭に出て、大きな石と石の間を歩いたが、不図姉の後に立つ女髪結を見つけて不思議そうに眺めていた。髪結は種々な手真似をしてお種に見せた。お種は笑いながら、庭に居る弟の方を見て、「この髪結さんは手真似で何でも話す。今東京から御客さんが来たそうだが、と言って私に話して聞かせるところだ――唖だが、悧好なものだぞい」こう言い聞かせた。
深い屋根の下にばかり日を送っているお種は、この唖の髪結を通して、女でなければ穿鑿して来ないような町の出来事を知り得るのである。髪結は又、人の気の付かないことまで見て来て、それを不自由な手真似で表わして見せる。その日も、親指を出したり、小指を出したり、終に額のところへ角を生す真似をしたりして、世間話を伝えながら笑った。
日暮に近い頃から、達雄、三吉の二人は涼しい風の来る縁先へ煙草盆を持出した。大番頭の嘉助も談話の仲間に加わった。そこへお仙やお春が台所の方から膳を運んで来た。