Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

ウネウネと続いた草屋根、土壁、柿の梢、石垣の多い桑畑などは次第に汽車の窓から消えた……

汽車が上州の平野へ下りた頃、三吉は窓から首を出して、もう一度山の方を見ようとした。浅間の煙は雲に隠れてよく見えなかった。

乗換えてから、客が多かった。三吉は立っていなければ成らない位で、子持がそこへ坐って了えば、子供の方は一人しか腰掛ける場処も無かった。お房とお菊とは、かわりばんこに腰掛けた。お繁はまた母に抱かれたまま泣出して、乳を宛行われても、揺られても、泣止まなかった。お雪は持余した。仕方なしにお繁を負って、窓の側で起ったり坐ったりした。

午後の四時頃に、親子五人は新宿の停車場へ着いた。例の仕事が出来上るまでは、質素にして暮さなければ成らないというので、下女も連れなかった。お房やお菊は元気で、親達に連れられて始めての道を歩いたが、お繁の方は酷く旅に萎れた様子で、母の背中に頭を持たせ掛けたまま、気抜のしたような眼付をしていた。時々お雪は立止って、めずらしそうに其処是処の光景を眺めながら、

「繁ちゃん、御覧」

と背中に居る子供に言って聞かせた。お繁は何を見ようともしなかった。