Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

「娘には反ってこの方が好い」と宗蔵も言った。「なにも、女の画家に成らなくたっても可いんだから」

実は娘の習った画を嬉しそうに眺めて、やがて町を散歩して来ると言って独りで出て行った。彼は弟からシミジミ旅の話などを聞こうとしなかった。弟は話せないものと成っていた。

夫の前では言おうと思うことも言い得ないでいるお倉は、実が散歩に出て行った後、宗蔵や三吉の談話の仲間に加わった。この三人は、実が長く家を留守にした間、互に艱難を嘗め尽したという心の結合が有る。弱いお倉、病身の宗蔵は、僅かに三吉を力にして、生命を継いで来たようなものだった。

「姉さんも白く成りましたね」

と三吉は嫂の額を眺めた。お倉は髪を染めてはいるが、生際のあたりはすこし褪めて、灰色に凋落して行くさまが最早隠されずにある。

「吾夫もね、染めるのも可いが、俺の見ないところで染めてくれ――なんて」と言って、お倉は笑って、「今からこんなお婆さんに成っては、真実に心細い……私はまだお嫁さんに来た時の気分でいるのに……」

「いや、全く姉さんはお嫁に来た時の気分だ――感心だ」と宗蔵が眼で笑いながら。

「人を馬鹿にしなさんな」