Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
「私なぞも小泉へ嫁いて来る時は――真実に、まあ、昔話のように成って了った――最早親の家にも別れるのかと思って、ちょっと敷居を跨ぐと……貴方、涙がボロボロと零れて……」
稲垣の細君も思出したように、「誰でもそうですよ、あんな哀しいことは有りませんよ」
「もう一度私もあんな涙を零してみたい――」とお杉も笑って、乾いた口唇を霑すようにした。「アアアア、こんなお婆さんに成っちゃ終だ……年を拾うばかしで……」
「厭だよ、この娘は――ブルブル震えてサ」と稲垣の細君は娘の顔を眺めて言った。
「何だか小母さんの身体まで震えて来た」
こうお杉は細君の手から娘を抱取るようにして笑った。
静かな夜であった。上野の鐘は寂とした空気に響いて聞えて来た。留守居の女達は、楽しい雑談に耽りながら、皆なの帰りを待っていた。
柱時計が十時を打つ頃に成って、一同車で帰って来た。急に家の内は人で混雑した。
「どうも名倉さんの母親さんには感心した。シッカリしたものだ」
こう実と稲垣とは互に同じようなことを言った。復た酒が始まった。その時、三吉の妻は家の人々や稲垣の細君などに引合わされた。
「お俊ちゃん、叔母さんが一人増えたことね」