Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
葱苗を売りに来る百姓があった。三吉の家では、それも買って植えた。
お雪が三吉の許へ嫁いて来るについては種々な物が一緒に附纏って来た。「未来のWと思っていたが、君が嫁いて失望した……いずれその内に訪ねて行く……」こんなことを女名前にして書いて寄す人も有った。お雪はそれを三吉に見せて、こういう手紙には迷惑すると言った。三吉は好奇心を以て読でみた。放擲して置いた。どうかするとお雪は不思議な沈黙の状態に陥ることも有った。何か家の遣方に就いて、夫から叱られるようなことでも有ると、お雪は二日も三日も沈んで了う。眼に一ぱい涙を溜めていることも有る。こういう時には三吉の方から折れて出て、どうしても弱いものには敵わないという風で、種々に細君の機嫌を取った。
「氷豆腐というものもナカナカ好いものだね……ウマい……ウマい‥…今日の菜は好く出来た……」
こう三吉の方で言うと、お雪も気を取直して、夫と一緒に楽しく食うという風であった。尤もこの沈黙はそう長くは続かなかった。一度その状態を通り越すと、彼女は平素のお雪に復った。そして、晴々しい眼付をして、復た根気よく働いた。お雪は夫の境涯をさ程苦にしているでもなかった。