Japanische Klassiker mit Furigana
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よせとしばいと
寄席と芝居と
岡本 綺堂
Lesen Sie 寄席と芝居と (よせとしばいと) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.084 Zeichen · 52 Bildschirme
今日では一年十二回の興行である。たとえば黙阿弥作の「十六夜清心」や「弁天小僧」のたぐい、江戸時代には唯一回しか上演されないにも拘らず、明治以後に至るまでその名は世間に知られていた。今日では、去年の狂言も今年は大抵忘れられてしまうのである。毎月休みなしの興行にあわただしく追い立てられて、観客の鑑賞力も記憶力も麻痺してしまうのであろう。
劇場側ばかりでなく、世態もまた著しく変わった。明治時代、前記の「牡丹燈籠」上演の頃までは、市中の氷屋、湯屋、理髪店などのように諸人の集まる場所では、芝居の噂がよく出たものである。その噂をする客が多いために、湯屋の亭主や理髪店の親方も商売の都合上、新聞の演芸記事や世間の評判に注意していて、客を相手に芝居話などを流行らせたものである。したがって「湯屋髪結床の噂」なるものが、芝居の興行成績にも直接間接の影響をも及ぼしたのであるが、現今は殆んどそんなことは無い。湯屋や理髪店で野球や映画や相撲の噂をする客はあっても、芝居の噂をする客は極めて少ない。その相手になる亭主や親方も、自分が特に芝居好きでない限りは、芝居の話などをする者はない。